My Foolish Heart

From America to Everywhere

無料なのは誰かが対価を払っているから(タダ飯などない)

この題名は映画「ドリームプラン(原題 King Richard)」でウィリアムズ姉妹を熱血指導する父親リチャード(ウィル・スミス)が、テニスのトーナメントで無料の食事が出てきた時に姉妹が喜ぶ姿をみて、発するセリフです。怒りを交えて吐き捨てるように言い、2人を無理矢理その場から剥がし、帰宅させるシーンが印象的で記憶に残っています。

 

 

 

最近は中高生がTikTokにモラルに欠ける動画を上げ、彼らが炎上するニュースをよく目にします。「将来、誰でも15分は世界的な有名人になれるだろう」と言った当時のアンディ・ウォーホルの言葉通り彼らは有名になり、炎上し、驚くことにショックを隠せずに落ち込んでいるようです。(正直こんなニュースをまともに取り上げる大人がいたり、社会は直ぐに忘れるのに深刻になりすぎる少年たちも良くないとは思いますが。)

 

私は少年たちのモラルが低下しているとか、些細なことを叩く大人が大人気ないという事を言いたいわけではありません。私が言いたいのは、「そもそもなぜTikTokに無料で自分たちのしょうもない動画を流通させられるのか」をもう少し考えたほうがいいという事です。

 

残念ながらはっきり言って子供達の炎上動画に価値があるわけではありません。しかし、その炎上動画をみる視聴者数と視聴者に価値があります。多くの人間がそういうしょうもない動画を見るために滞在することで広告を打つ価値が高まるわけです。実は視聴者も同じです。広告ビジネスに加担することで、対価として動画を見ることができます。要は無料なのは誰かが対価を払っているから、なのです。

 

便利と言われるGoogle検索も同じことです。我々が検索窓にワードを入れて検索すると手っ取り早く情報を得ることができますが、それは検索であれば我々が自分たちの関心事項をいう個人情報を、地図であれば自分たちの位置情報を「対価として支払って」情報を受け取っているからに過ぎません。つまり「情報の物々交換」です。これは以前私が学んでいた米国独占禁止法で、FTCが既に検索エンジンによる情報のGive&Takeを「市場」と見ていたことからも明らかです。

 

我々がこうして無料と勘違いしているネット世界を自由に楽しめているのは自分たちの個人情報を対価として切り売りしているからだけであって、そこには資本主義の責任が伴います。それを関心事や位置情報だけに留まらず、顔や、ましてや学校の情報まで特定されるくらいの背景を出して動画を上げるのは自分が得られる価値(上記の15分だけ有名になれる?価値)に比べてかなりの大赤字な行為と言えるのではないでしょうか。

 

今回炎上した彼らはそんなギャンブルを社会に対して仕掛けて「大損こいた」という結果でしかないかなと思います。割と結果は最初から見えていたわけですが。こういうブログを書いている私自身も明日は我が身かもしれません。

 

でもまずは学校で教えるべきなのは子供にTiktokをやらせないということではありません(最悪なのは子供にスマホを持たせない!とかいう頓珍漢な親の結論になることです。私は中高時代はインターネットで多くを学びましたので。)。それよりも、インターネットやTiktokの収益構造やそもそも実世界同様、タダ飯などないぞということを分かりやすく教えることが大事だと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

Kaishu